Vol.54, No.1(2026)
【 目次 】(文字色変化:要約あり)
日本防菌防黴学会・学会賞受賞論文
殺菌消毒薬の作用機序を含む有効性と安全性に関する基礎的研究,および感染対策の実踐における課題解決に関する研究
殺菌消毒薬の作用機序を含む有効性と安全性に関する基礎的研究,および感染対策の実踐における課題解決に関する研究
- 著者:
- 岩澤篤郎(東京医療保健大学)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.1,pp.3−21(2026)
日本防菌防黴学会学会賞受賞論文「殺菌消毒薬の作用機序を含む有効性と安全性に関する基礎的研究,および感染対策の実践における課題解決に関する研究」に関して概説した。電解水・次亜塩素酸水の基礎的検討から,看護部と共同して手指洗浄・環境整備への有効的な適用方法の構築,さらにオゾン水を含めた機能水による内視鏡の洗浄消毒に関して解説した。高水準消毒薬であるフタラール製剤・グルタラール製剤,中水準消毒薬のポビドンヨード製剤と擦式アルコール製剤の殺菌・抗ウイルス効果と細胞毒性に関してin vitroでの試験系で得たデータを中心に解説した。検討した装置は,1650kHzの超音波照射装置と共同研究している大気圧プラズマに関して現状を提示した。最後に微生物制御・感染制御において,これら消毒薬や電解水・次亜塩素酸水,各種装置の在り方に関して私なりの考えを提示した。
Key words:Hypochlorous Acid Water(次亜塩素酸水)/Disinfectants(消毒薬)/Atmospheric low-temperature plasma(大気圧低温プラズマ)/Bactericidal activity(殺菌効果)/Antiviral activity(抗ウイルス効果)/Cytotoxic effect(細胞毒性).
水道におけるPFASへの対応について
- 表題:
- 水道におけるPFASへの対応について
- 著者:
- 小坂浩司(国立環境研究所 環境リスク・健康領域 水道水質研究和光分室)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.1,pp.23-27(2026)
PFASは,1万種以上が存在すると言われ,幅広い用途で使用されている。2026年4月1日,水道水質基準において,PFASのうちPFOSおよびPFOAについて,水質管理目標設定項目項目から水質基準項目への格上げが施行される。2020年に,これらが水質管理目標設定項目に設定され,暫定目標値が示されて以降,全国的な検出状況や目標値の超過地点の把握,超過地点での低減対策等,水道では,規制を見据えた取り組みが行われてきた。また,PFOS,PFOA以外のPFASの調査等も実施されている。本稿では,水道におけるPFASへの対応の動向について紹介する。
Key words:PFAS(PFAS)/Water supply(水道)/Drinking water quality regulation(水道水質基準)/Drinking water quality examination(水道水質検査)/Drinking water treatment(浄水処理).
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識
[1]開講にあたって-微生物制御についての基本的な考え方-
[1]開講にあたって-微生物制御についての基本的な考え方-
- 表題:
- 微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識 [1]開講にあたって-微生物制御についての基本的な考え方-
- 著者:
- 坂上吉一(元近畿大学)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.1,pp.29-30(2026)
微生物は地球上のあらゆる場所に存在する。数多く存在する微生物のうち我々が培養できるもの(目で確認できるもの)は,全体の1%前後に過ぎない。基本的に微生物は肉眼では見えない生物であるが,良い微生物(人間にとって都合が良い微生物)と悪い微生物(人間にとって都合が悪い微生物)が存在し,人々の日常生活に大きな影響を与えている存在である。従って,微生物制御は,我々人類が社会生活を健全に営む上で重要な要因の一つである。人間の生活は微生物との共存により成り立っており,害をなくすための行動は,微生物の挙動を管理,すなわち定量制御するとの考えに基づいて進められることが望ましいと考えられる。微生物制御は,あらゆる手段で適切に実施するのが最善と考えられる。制御法としては,大きく殺菌,除菌,静菌,および遮断等に分類される。また,それらを分類すると,化学的制御,物理的制御,およびその他の種々の制御方法に分類される。今回,「微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識」と題して,本講座を開講した。
Key words:Microbiological control(微生物制御)/Control method(制御法)/Chemical control(化学的制御)/Physical control(物理的制御)/Coexistence between human and microorganisms(微生物との共存).
薬剤耐性(AMR)対策-最新情報をふまえて-
[7]真菌感染症分野での薬剤耐性の現状(2025年)
[7]真菌感染症分野での薬剤耐性の現状(2025年)
- 表題:
- 薬剤耐性(AMR)対策-最新情報をふまえて- [7]真菌感染症分野での薬剤耐性の現状(2025年)
- 著者:
- 伴さやか(千葉大学真菌医学研究センター)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.1,pp.31-40(2026)
本稿では現時点で発生が報告されている,いくつかの代表的な薬剤耐性の真菌種とその分子メカニズム,並びに新興真菌症の問題について概論をまとめた。ヒト真菌症の薬剤は,標的を大別して3クラスしか存在せず,自然耐性,獲得耐性を有する菌種/菌株の出現は,他の微生物よりも一層深刻な状況に陥りやすい。主に,Aspergillusにおけるアゾール系薬剤耐性の増加,カンジダ症においては,Candida non-albicansの菌種における感受性の低下,すべての抗真菌剤が効かないCandidozyma aurisの系統,白癬菌種でのテルフィナフィン,アゾール低感受性株の世界的な拡大がトレンドとなっている。耐性機序の分子基盤の解明とともに,迅速診断法および新規抗真菌薬の開発を両輪として進めることが,真菌感染症対策の鍵となるだろう。
Key words:Azole-resistant Aspergillus fumigatus(アゾール耐性アスペルギルス)/Drug resistance(薬剤耐性)/Medical fungi(病原真菌)/New antifungal agents(新規抗真菌剤)/Terbinafine-resistant Trichophyton spp.(テルビナフィン耐性白癬菌)
会報・議事録 …41 / 会報 …50 / カレンダー …裏面
【 English Contents 】
Basic research on the effectiveness and safety of disinfectants, including their mechanisms of action, and research on problem-solving in infection control practices
(1) Before starting the course: Basic concepts of microbial control
(7) Current status of drug resistance in fungal infections in 2025
Vol.54, No.2 (2026)
【 目次 】
葛根湯による緑膿菌臨床株病原因子抑制効果の検討
- 表題:
- 葛根湯による緑膿菌臨床株病原因子抑制効果の検討(短報)
- 著者:
- 種市 将麻,蓼沼 瑞希(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科),眞野 容子,古谷 信彦(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科,文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.2,pp.51-56(2026)
Pseudomonas aeruginosa(P. aeruginosa)は,通常は健常者に対して病原性を示さないが,免疫力が低下した易感染者では肺炎や敗血症などの日和見感染を引き起こす原因菌となる。近年,フルオロキノロン系・カルバペネム系・アミノグリコシド系抗菌薬に耐性を持つ多剤耐性緑膿菌(MDRP)が問題となっており,抗菌薬に代わる新たな治療手段の探索が求められている。先行研究では,漢方薬の麻黄湯が緑膿菌の標準株PAO1および臨床分離株において,複数の病原因子を抑制する効果を示すことが確認されている。一方,麻黄湯と類似した効能を持つ葛根湯については,緑膿菌に対する効果の検討がなされていない。そこで本研究では,葛根湯がP. aeruginosa臨床分離株の病原因子に及ぼす抑制効果を検討し,代替的感染制御手段としての可能性を評価した。
Key words:Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)/Kakkonto(葛根湯)/Motility(運動性)/Pyocyanin(ピオシアニン)/Total protease activity(総蛋白分解酵素活性).
エピガロカテキンガレート(EGCG)による多剤耐性緑膿菌(MDRP)の病原因子抑制効果の検討
- 表題:
- エピガロカテキンガレート(EGCG)による多剤耐性緑膿菌(MDRP)の病原因子抑制効果の検討(短報)
- 著者:
- 蓼沼 瑞希,種市 将麻(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科),眞野 容子,古谷 信彦(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科,文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.2,pp.57-62(2026)
多剤耐性緑膿菌(MDRP)は健常者に対しては病原性をほとんど示さないが,免疫能が低下した易感染者に対して日和見感染症,呼吸器感染症を引き起こし,院内感染の原因菌として多く分離されている。MDRPの病原性には,バイオフィルム(biofilm)形成,運動性(motility)などの因子が関与しており,これらの病原性因子を制御することが感染予防において重要とされる。しかし,近年では多剤耐性株の出現により,従来の抗菌薬による治療が困難となっており,代替となる薬剤や有効成分の探索が求められている。一方,緑茶に豊富に含まれるポリフェノールであり,抗菌作用,抗ウイルス作用,抗動脈硬化作用,血圧上昇抑制作用等,様々な有効作用が報告されているエピガロカテキンガレート(EGCG)に着目し,MDRPの病原因子抑制効果の検討を行った。
Key words:MDRP(多剤耐性緑膿菌)/Biofilm(バイオフィルム)/Motility(運動性)/EGCG(エピガロカテキンガレート)/Nosocomial infection(院内感染).
界面活性剤の基礎と洗浄理論
- 表題:
- 界面活性剤の基礎と洗浄理論
- 著者:
- 吉村 倫一(奈良女子大学 研究院自然科学系化学領域)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.2,pp.63-70(2026)
界面活性剤は,水溶液中での会合体形成と界面への選択的吸着により,界面張力低下,可溶化,乳化,分散安定化などの機能を発現する。これらはコロイド・界面化学の基本概念を理解する上で重要である。同時に,洗浄,防菌・防黴,医薬・化粧品など幅広い分野で利用される基盤技術でもある。本解説では,界面活性剤の分子構造と分類を概説した後,表面張力曲線に基づく気/液界面での吸着特性,さらに水溶液中における会合挙動について説明する。また,固体表面への吸着挙動と吸着層形成に着目し,洗浄過程における汚れ除去および再付着防止の機構を界面化学の観点から概説する。加えて,Sinnerの4因子の考え方を踏まえ,洗浄条件と界面特性の関係を示すとともに,防菌・防黴における微生物の初期付着抑制や再汚染低減への応用について述べる。
Key words:界面活性剤/界面吸着/洗浄/防菌・防黴.
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識 [3]化学的制御 -防カビ剤-
- 表題:
- 微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識 [3]化学的制御 -防カビ剤-
- 著者:
- 加藤 義晃(住化エンバイロメンタルサイエンス(株))
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.2,pp.71-75(2026)
塗料やプラスチック,紙や繊維製品,建築材料などの工業製品に添加される各種防カビ剤の有効成分について,化学名やCAS番号,水溶解度,カビに対する最小発育阻止濃度(MIC)等の特徴を概説し,さらにこのうちの代表的な有効成分を組み合わせた混合剤特許について出願日と公開番号/特許番号のマトリクスとして紹介した。
Key words:Fungicide(防カビ剤)/Mold(カビ)/Formulation(製剤)/Patent(特許).
会報 …50
カレンダー …和文目次裏
【 English Contents 】 Vol.54,No.2 (2026)
(3) Chemical Control: Antifungal Agents
Society Activities …82
Calendar …Reverse Page of the Contents in Japanese
Vol.54, No.3 (2026)
【 目次 】
微生物とエピジェネティクス
□1はじめに:エピジェネティクスとは
-微生物を理解するための新しい視点-
□1はじめに:エピジェネティクスとは
-微生物を理解するための新しい視点-
- 表題:
-
微生物とエピジェネティクス
□1はじめに:エピジェネティクスとは-微生物を理解するための新しい視点- - 著者:
- 飯田泰広(神奈川工科大学 工学部 応用化学生物学科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.3,pp.83−89(2026)
エピジェネティクスとは,DNAの塩基配列に変化なく遺伝子の発現を制御する現象や学問分野を示す言葉である。本稿では,そのエピジェネティクスの概要を微生物を中心に記載している。エピジェネティクスおよびその研究の歴史に始まり,エピジェネティクスの生物学的意義,遺伝子発現制御における分子的なメカニズムを,DNAメチル化やヒストン修飾,非コードRNAへの修飾の3つに分けて解説している。エピジェネティクスはヒトなどの哺乳類での研究で細胞の分化や疾患発症に深く関与していることが分かっている。近年では微生物においてもエピジェネティクスと病原性,薬剤耐性,環境適応,マイクロバイオームとの関連が報告されており,本稿では,その現象を分子レベルで理解するための基礎となる知見を紹介している。また,エピジェネティクスの理解により,抗菌・抗真菌剤の新規ターゲットや有効な微生物利用に結びつくと期待できる。
Key words:Epigenetics(エピジェネティクス)/Regulation of Gene Expression(遺伝子発現制御)/DNA Methylation(メチル化DNA)/DNA Modification(DNA修飾)/DNA Methyltransferase(DNAメチル化酵素).
微生物とエピジェネティクス
□2原核生物・ウイルスのエピゲノム研究の展開
□2原核生物・ウイルスのエピゲノム研究の展開
- 表題:
-
微生物とエピジェネティクス
□2原核生物・ウイルスのエピゲノム研究の展開 - 著者:
- 平岡聡史(海洋研究開発機構(JAMSTEC) 海洋機能利用部門 生命理工学センター 深海バイオリソース研究グループ)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.3,pp.91−99(2026)
生命の設計図であるゲノムは,ATCGの4種の塩基が鎖状に並んだDNA,またはAUCGからなるRNAにより構成されている。ゲノムDNA/RNAには,酵素の働きにより,後天的に化学修飾が施される場合がある。この化学修飾を含めたゲノム全体のことは「エピゲノム」(Epigenome)と呼ばれる。化学修飾の種類としては様々なものが知られているが,特に塩基のメチル化修飾がよく研究されている。真核生物のエピゲノムは,遺伝子発現や細胞分化を制御し,また細胞の癌化や疾患の発症などにも関わる重要な機構として,従来から様々な研究が進められてきた。一方で,バクテリアやアーキア,ウイルスといった微生物がもつエピゲノムは,その医学的重要性の違いや,修飾検出の技術的困難さなどのため,真核生物と比較して研究は大きく立ち遅れてきた。ところが,近年のゲノムシーケンシング技術の発展に伴い,微生物エピゲノムの測定技術は劇的に簡便・低コストになり,微生物エピゲノム研究を取り巻く状況は一変しつつある。本稿では微生物エピゲノムの概要や過去の研究史,近年の研究の展開を紹介し,今後の展望を議論したい。
Key words:Epigenome(エピゲノム)/DNA chemical modification(DNA化学修飾)/DNA methyltransferase(DNAメチル化酵素)/Metaepigenome(メタエピゲノム)/RM system(制限修飾系).
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識
□3化学的制御 -殺菌消毒剤-
□3化学的制御 -殺菌消毒剤-
- 表題:
-
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識
□3化学的制御 -殺菌消毒剤- - 著者:
- 坂上吉一(元近畿大学)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.3,pp.101−105(2026)
殺菌消毒剤(消毒剤)は,病院等の医療施設における感染症の発生予防,医薬品製造工場および食品製造工場等での衛生管理,食品衛生分野での食中毒原因菌の発生予防ならびに一般家庭等における衛生意識の向上に少なからず貢献している。殺菌消毒剤がターゲットとする微生物は,条件(温度および栄養源等)が良ければ爆発的に増殖する。また,増殖した対象微生物の感染性が強い場合は,感染が成立するリスクが非常に高くなる。従って,種々の施設における感染症の発生予防面等で,殺菌消毒剤は衛生学的意義が高い薬剤であると考えられる。今回,「2化学的制御 -殺菌消毒剤-」と題して,殺菌消毒剤の登場の歴史,殺菌消毒剤とそれらの特徴,主要な殺菌消毒剤の殺菌メカニズム,殺菌消毒剤に関係する最近の話題,および新規殺菌消毒剤の可能性について解説した。
Key words:Chemical control(化学的制御)/Disinfectant(殺菌消毒剤)/Characteristics of disinfectant(殺菌消毒剤の特徴)/Microbiological control(微生物制御)/Bactericidal mechanism(殺菌メカニズム).
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識
□4光触媒の抗菌・抗ウイルス機能と製品への応用
□4光触媒の抗菌・抗ウイルス機能と製品への応用
- 表題:
-
微生物管理のための微生物制御技術の基礎知識
□4光触媒の抗菌・抗ウイルス機能と製品への応用 - 著者:
- 福嶋哲弥(TOTO(株))
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.3,pp.107−111(2026)
光触媒は,酸化チタンに光を照射することで活性酸素種を生成し,これによりウイルスや細菌を酸化分解・不活化する技術である。特に新型コロナウイルスの流行以降,屋内感染症対策として注目が高まったが,従来の光触媒は紫外線が乏しい室内環境での効果に限界があった。これに対し,「ハイブリッド光触媒」は抗菌金属を担持し,暗所においても金属イオンの抗菌作用を発揮することで課題を克服している。また,「可視光応答型光触媒」は,ルチル型酸化チタンに銅化合物を担持する構造により,室内のLED光下でも高い光触媒活性を示す。これらの技術はJIS等の標準試験により有効性が確認され,トイレの床材や壁紙などの内装材への応用が進んでいる。今後,これらの先進的光触媒技術は,安心かつ衛生的な住環境の実現に寄与していくものと期待される。
Key words:Photocatalyst. Antivirus/Antimicrobial/TiO2/Visible-light-active photocatalyst.
会報 …114
カレンダー …和文目次裏
【 English Contents 】 Vol.54,No.3(2026)
Society Activities …114
Calendar …Reverse Page of the Contents in Japanese
Vol.54, No.4 (2026)
【 目次 】
アルカリ剤と第四級アンモニウム塩を配合した手指用殺菌洗浄剤の微生物不活化効果
- 表題:
- アルカリ剤と第四級アンモニウム塩を配合した手指用殺菌洗浄剤の微生物不活化効果(短報)
- 著者:
- 八戸 敬,小倉智恵子,岡本翔太郎(ADEKAクリーンエイド(株) 研究開発部),桑原知巳(香川大学・医学部 分子微生物学)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.4,pp.115−120(2026)
手指衛生は感染症や食中毒を予防するための最も重要な対策の一つである。本研究では薬剤抵抗性が高い細菌やウイルスを不活化するために開発された,アルカリ剤と第四級アンモニウム塩を含有した手指用殺菌洗浄剤の微生物不活化効果を市販の手指消毒剤と比較した。その結果,アルカリ剤と第四級アンモニウム塩含有手指用殺菌洗浄剤は,幅広い細菌やウイルスに対して有効であることが示された。この結果はpHのみに起因するものではなく,第四級アンモニウム塩溶液をアルカリ剤により弱アルカリ性に緩衝することで,塩化ベンザルコニウムに対して低感受性の微生物にも不活化効果が増強されることが示唆された。以上の結果から,アルカリ剤と第四級アンモニウム塩含有手指用殺菌洗浄剤を用いた手指衛生は,感染症や食中毒のリスクを低減するのに有効であると結論付けられた。
Key words:Hand Sanitizing Detergent(手指用殺菌洗浄剤)/Alkaline Agents(アルカリ剤)/Quaternary Ammonium Salt(第四級アンモニウム塩)/Disinfection(殺菌)/Microbicidal activity(微生物不活化効果).
業界初炭酸ガス混合法により生成される次亜塩素酸水溶液の衛生管理における役割,効果,および安全性に関する総合的評価
- 表題:
- 業界初炭酸ガス混合法により生成される次亜塩素酸水溶液の衛生管理における役割,効果,および安全性に関する総合的評価
- 著者:
- 馬場英明(ヴィータ販売(株) 大阪営業所),石賀 健(ヴィータ販売(株) 久喜テクニカルセンター),野口誠一,太田好紀(ヴィータ販売(株) 本社)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.3,pp.121−127(2026)
本論文は,炭酸ガス混合法により生成される次亜塩素酸水溶液(炭酸次亜水)の衛生管理における有効性と安全性を総合的に評価したものである。炭酸ガスの溶解により炭酸水素イオン緩衝系が形成され,殺菌時のpHが安定化することで塩素ガス発生リスクを低減する。また,非解離型HOClの比率が高く維持されるため,高い殺菌速度を示し,芽胞菌や真菌に対しても有効である。さらに食品工場におけるHACCP運用,器具殺菌,空間噴霧などへの応用事例を示し,作業安全性,排水管理,経済性の面でも優位性を有することを報告している。
Key words:炭酸次亜水/次亜塩素酸/炭酸ガス混合法/塩素ガス抑制/pH安定性
微生物とエピジェネティクス
□3ヒトエピゲノムと疾患:ピロリ菌感染によるDNAメチル化異常と胃がんリスク
□3ヒトエピゲノムと疾患:ピロリ菌感染によるDNAメチル化異常と胃がんリスク
- 表題:
-
微生物とエピジェネティクス
□3ヒトエピゲノムと疾患:ピロリ菌感染によるDNAメチル化異常と胃がんリスク - 著者:
- 山下 聡(前橋工科大学 工学部 生命工学領域)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.4,pp.129−136(2026)
本稿では,ヒトのエピゲノムと疾患との関係について概説し,特にピロリ菌感染が胃粘膜に誘導するDNAメチル化異常と胃がんリスクとの関連に焦点を当てて解説した。エピゲノムはDNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現状態を制御・記憶する仕組みであり,発生や分化に重要である一方,異常が蓄積すると疾患の発症や進展に関与する。ピロリ菌感染は胃粘膜に慢性炎症を惹起し,その結果としてDNAメチル化異常を誘導することが明らかにされてきた。重要なのは,メチル化異常の誘導因子が菌そのものではなく,感染に伴う特定の炎症反応である点である。また,除菌後もDNAメチル化異常の一部は残存し,過去の炎症曝露の履歴を反映する分子学的痕跡として機能する。実際に,胃粘膜DNAメチル化レベルの測定により,除菌後の個人間で胃がんリスクを層別化できることが前向き臨床研究により示されている。これらの知見は,防菌・防感染を単に微生物を排除する行為として捉えるのではなく,感染後に宿主側に長期的に残るエピゲノム変化まで含めて考慮する必要があることを示している。こうしたエピゲノム変化を指標とした将来的な医療への応用が期待される。
Key words:Epigenome(エピゲノム)/DNA methylation(DNAメチル化)/Helicobacter pylori infection(ピロリ菌感染)/Chronic inflammation(慢性炎症)/Gastric cancer(胃がん).
世界と日本の最新の食品微生物試験法
□1開講にあたって
□1開講にあたって
- 表題:
- 世界と日本の最新の食品微生物試験法
□1開講にあたって - 著者:
- 久米田裕子(NPO法人カビ相談センター)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.54,No.4,pp.137−139(2026)
食品微生物試験法は,「食品安全性の証明」と「衛生管理の妥当性評価」を担う科学技術の根幹である。近年,HACCPの完全施行や国際的な食品安全マネジメントシステムの普及により,従来の最終製品検査(終末検査)から,工程管理の適切性を評価するリスクベースの衛生管理へと役割が移行している。これに伴い,ISO規格への準拠といった国際整合性の確保や,迅速法・代替法の科学的妥当性の評価が強く求められるようになった。また,リステリア対策を筆頭とした製造環境モニタリングや,次世代シーケンス(NGS),AI等の高度技術の活用も重要な潮流となっている。本連載では,これら最新の試験法動向と実務への活用例を各専門家が解説し,現場での適切な検査法選択と効果的な衛生管理に資する知見の共有を目指す。
Key words:食品微生物試験法/国際整合性/HACCP/妥当性評価/製造環境モニタリング.
会報 …146
カレンダー …和文目次裏
【 English Contents 】 Vol.54,No.4(2026)
Society Activities …146
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